
「ミリ波」って聞いたことありますか。
5Gの説明でたまに出てくる単語ですが、正直「なんかすごい電波」くらいの理解の人が多いと思います。
実は今月、この電波をめぐって携帯4社が珍しく手を組みました。
何が起きたのか、そしてミリ波がなぜそんなに厄介なのか、整理します。
何が発表されたのか
2026年9月11日、ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの携帯4社が、5Gミリ波の利用エリア拡大に向けた共同検討に合意し、覚書を締結しました。
内容を一言でいうと、各社が別々に建てたミリ波基地局を、お互いに使わせ合う検討を始めるということです。
各社が自社エリアの整備を続けるのは変わりません。でも、それに加えて「他社の設備も間借りできないか」を具体的に検討していく、という話です。
携帯業界って基本ガチガチの競合なので、これは結構珍しい動きです。
そもそもミリ波って何なのか
以前、プラチナバンド(700MHz帯)の記事で「低い周波数は壁を通り抜けやすい」という話をしました。
ミリ波はその真逆です。
国内のミリ波は28GHz帯という、めちゃ高い周波数を使っています。
高い周波数のいいところは、一度に運べるデータ量が圧倒的に多いこと。混雑知らずの太い道路みたいなイメージです。
でも代償があります。
電波の直進性が高く、遮蔽物の影響を受けやすい。
つまり、まっすぐしか飛ばない。建物の陰に回り込めない。ちょっとした障害物ですぐ弱まる。
プラチナバンドが「壁を通り抜けるドラムの低音」なら、ミリ波は「一直線にしか届かないレーザーポインター」くらいの違いがあります。
だから基地局が異常に必要になる
このまっすぐ飛ぶ特性のせいで、ミリ波でエリアを作るには従来の電波よりも圧倒的に多い基地局設備が必要になります。
700MHz帯なら1基地局で広いエリアをカバーできるのに対し、ミリ波は電波が届く範囲が狭く、遮蔽物にすぐ止められる。
同じ面積をカバーするのに、必要な基地局の数が桁違いに増える。
これがミリ波の普及がなかなか進まない最大の理由です。技術がすごくても、設備投資が現実的に間に合わない。
なぜ「相互活用」という発想になったのか
ここで4社協力の意味が見えてきます。
各社が独自にミリ波基地局を建てても、1社だけでは狭いエリアしかカバーできない。
でも、A社が渋谷に建てた基地局を、B社の利用者も使えるようにしたら、実質的にカバーエリアが一気に広がります。
基地局を増やす投資は依然として必要ですが、「4社分の投資を足し合わせて共有する」ことで、1社単独でやるより速くエリアが広がる可能性があります。
ライバル同士が協力するのは、ミリ波が「1社で頑張ってもコスパが悪すぎる」電波だから、とも言えます。
過去にも似た動きがあった
今回が初めての連携ではありません。
2026年5月には、KDDIとドコモがミリ波中継装置を共同開発したと発表しています。
夏コミやロックフェスといった、大量の人が一箇所に密集するイベントでは、KDDIがミリ波中継器やミリ波Wi-Fiを活用してきた実績もあります。
つまり「ミリ波は基地局だけでは限界があるので、中継器や連携でカバーする」という発想は前からあり、今回の4社合意はそれをさらに大きな枠組みに広げた形です。
まとめ
- 携帯4社がミリ波基地局の相互活用を検討する覚書を締結(2026年9月11日)
- ミリ波(28GHz帯)は大容量だが、直進性が高く遮蔽物に弱い
- そのため従来の電波より圧倒的に多い基地局設備が必要
- 1社単独では非効率なので、4社で設備を共有してエリアを広げる方向に
プラチナバンドが「広く浅く届く電波」なら、ミリ波は「狭く深く速い電波」。
両方をどう組み合わせるかが、これからの5G・6G時代の勝負所になりそうです。
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