2023年の夏、VIVANTを見ていた人は覚えていると思います。
モンゴルの砂漠で遭難。電波なし。誰にも連絡できない。孤立無援。
あの緊迫感、すごかったですよね。
でも、今の技術で考えると、あの遭難、普通に解決できます。
しかも割と早めに。
なぜモンゴルの砂漠で電波が繋がらないのか
まず前提から整理します。
スマホの電波が繋がるには「基地局」が必要です。
基地局は、人が住んでいる場所の近くに作られます。
モンゴルの遊牧地帯・砂漠地帯は人口密度が世界最低水準です。
面積は日本の約4倍。人口は320万人くらい(東京の4分の1)。
そこにキャリアが採算度外視で基地局を建てるわけがない。
だから繋がらない。
「電波の届かない極限状態」の演出として砂漠やモンゴルが使われるのは、技術的に完全に正しいです。
2023年時点では。
Starlinkが「衛星からインターネット」を現実にしてしまった
ここで話が変わります。
Starlinkは SpaceX が運営している衛星インターネットサービスです。
地上に基地局を作るんじゃなくて、低軌道(高度550km付近)に衛星を大量に打ち上げて、そこからインターネットを配信するという発想です。
2024年時点で打ち上げ済みの衛星は6000機以上。
これが空中に張り巡らされているので、砂漠だろうと海上だろうと、頭上に衛星さえ来れば繋がります。
衛星は地球を周回しているので、待てばいずれ来ます。
VIVANTをStarlink時代に置き換えると
ここが本題です。
VIVANTの遭難シーン、Starlinkがあれば:
スマホで衛星に接続 → SOSメッセージ送信 → 救助要請完了
以上です。物語終了。
「電波がない」というのが、あの話の緊張感の根幹にあります。
その前提が崩れると、脚本ごと成立しなくなる。
これはVIVANTに限らず、「孤立した場所での事件・遭難」を扱うドラマ全体の問題です。
ミステリーの定番「嵐の山荘」も、「離島の孤立事件」も、「砂漠の遭難」も、衛星通信が普及した世界では出発点から詰んでいます。
もっと言うと、iPhoneにすでに機能がある
さらに現実が進んでいて、iPhone 14以降は「衛星経由の緊急SOS」機能がついています。
通常の電波が届かない場所でも、Appleの衛星ネットワーク経由で緊急連絡ができる。
日本でも2023年末から使えるようになっています。
つまり今の時代、iPhoneを持っていれば砂漠で遭難しても緊急連絡できる可能性がある。
VIVANTの登場人物たちが今のiPhoneを持っていたら、たぶんあの物語は起きていません。
でも現実の遭難ではまだ死んでいる
ここで一気に現実に戻ります。
衛星通信・緊急SOSがあっても、毎年山岳遭難で亡くなる人はいます。
理由はいくつかあります:
- 機能を知らない、使い方がわからない
- 電池が切れている
- 機能があっても救助隊が到着するまでの時間で体力が尽きる
- そもそも登山にスマホを持っていかない人もいる
技術が解決できるのは「連絡が取れない問題」だけで、「到着するまでの時間」はまだ解決できていません。
まとめ
- VIVANTのモンゴル砂漠遭難、2025年以降の設定なら普通に衛星で解決できる
- Starlinkは地上基地局なしで世界中にインターネットを届けられる
- iPhone 14以降は衛星経由の緊急SOSが実装済み(日本対応済み)
- ただし技術があっても使われなければ意味がない
「電波が届かない」という設定は、ドラマにとってこれからどんどん使いにくくなっていきます。
脚本家さんたちは大変だな、と思いながら次のドラマを見てみてください。
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